技術士試験対策|難解な受験申込書の作成方法を現役技術士が解説!

技術士への道
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技術士の資格勉強で最初に待ち受けているハードルのひとつが、受験申込書の作成ではないでしょうか。

私も受験申込書なんて住所等の必要事項を記載するだけだと思っていたので、初めて見たときは「???」でした。
特に詳細業務については、HPに記載されている事例だけでは分からなかったので、作成にかなり苦労した記憶があります。

それ以外にも実務経歴経験書もありますので、何を書くか迷っている人も多いのではないでしょうか。

この記事では、受験申込書の記入のポイントについて解説していきます。

記事更新:2023年2月(コンピテンシー更新のため)

技術士第二次試験の受験申込書の添削します 全部門対応可能(化学部門の方には特におすすめします)
 

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はじめに

受験申込書案内(令和元年なので、少し古いです)を見てみると、業務内容の詳細には以下のような記述があります。

引用:技術士会HP 受験申込書案内(こちらは令和4年度です)

最低限のポイントは2つです。

  1. 720文字以内で書く(1文字も超えると印刷ができない仕組み)
  2. 5つの業務経歴の中から「〇」をつけたものについて書く

では、どんなことを書けばいいでしょうか。

次の2つをよく考えてから、実際のフォームに記入していきましょう。

  1. 詳細経歴に書くテーマを5つの中からどれを選ぶか(事前に5つが決まっている前提)
  2. どんな構成にして書くか
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詳細経歴に書くテーマを考える

書きやすさや自分が特に力を入れたことなど、色々な考えがあるかと思いますが、詳細経歴に書くテーマの原則は以下です。

  1. 口頭試験で聞かれるコンピテンシーを想定する
  2. 技術士法(科学技術の向上、国民経済の発展)に適しているかを意識する

上記を踏まえて実際のフォームに記入していきましょう。

口頭試験で聞かれるコンピテンシーを想定する

コンピテンシーの説明はこの記事では割愛しますが、下記の文部科学省HPに詳細な記載がありますので、合わせて確認してみてください。

コンピテンシーは令和5年1月に一部更新されました。参照は更新された後のコンピテンシーを掲載しております。

参照:文科省(技術士に求められる資質能力)

例えば、コミュニケーションの一部を抜粋します。

「業務履行上、情報技術を活用し、口頭や文書等の方法を通じて、雇用者、上司や
同僚、クライアントやユーザー等多様な関係者との間で、明確かつ包摂的な意思疎
通を図り、協働すること」

業務は1人では当然進めることが出来ませんので、多くの人とやりとりしながら課題や問題を解決すると思います。

それをどんな形どんな表現で実践したのかを書いていくことがポイントになります。

更にコンピテンシーが更新されたことで情報技術を活用(表現方法を更に明確にする)すること、一定範囲の中で意思疎通すること、互いに尊重(ともに協力して共有していく)することなどを含むことであると考えられます。

ただし、当然720文字の制約の中ですべてのコンピテンシーを織り込むことは不可能ですので、ポイントを絞りながら作成しましょう。

技術士法

技術士法には以下のような記載があります。(原文から一部抜粋)

第1条:技術士等の資格を定め、その業務の適正を図り、科学技術の向上と国民経済の発展に資する

第2条:科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務を行う者をいう。

これを説明できるテーマであることが原則です。

注意点(たとえば、リチウムイオン電池の材料開発に従事した人のテーマ)
×:リチウムイオン電池の電極材料の開発
→開発は第2条に入っていません
△:リチウムイオン電池の電池材料の研究
→研究はありますが、何の研究か分かりません
〇:リチウムイオン電池の電極材料の性能向上に関する研究
→性能向上=科学技術向上で理解しやすいです

業務内容テーマが、技術士法に関わる2つの点を含んでいることが重要です。

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構成

テーマが決まったら次は構成です。

構成は申込書に記載例がある以下4つの項目から整理するのがよいかと思います。

  1. 背景と立場、役割
  2. 課題
  3. 技術的解決策
  4. 成果

 

令和4年に「専門とする事項」を踏まえとあります。そのため、自分が申込書に書いた専門に関係することを業務経歴に書くことが求められます。その上で自分の専門とする事項、選択科目の選定はよく考える必要があります。

背景と立場、役割

基本的にこの項目はあまり文字数をかける必要はありません。

課題や技術的解決に文字数をかけたいのでシンプルに書きましょう。

順に解説していくと、まず「背景」はテーマの概要を書きます。例えば、「材料開発において目標性能よりも低い状況である」です。

次に「立場」ですが、これは役職ではなく、あくまでそのテーマでの立場です。例えば、「技術開発リーダー」や「材料開発担当」です。

最後の「役割」は具体的に実施したことです。例えば、「計画管理」「資源管理」「試作」「解析」「メーカ調整」です。

役割にさりげなくコンピテンシー要素を入れています。
資源管理は「マネジメント」、メーカ調整は「リーダーシップ」や「コミュニケーション」です。

課題

流れとしては、現状→目標→課題という順番で整理するのがベストです。

例えば、現状は「リチウムイオン電池の特性80」、目標は「リチウムイオン電池の特性100」、課題は「特性を上げる要素が分からない」です。

以下に課題と問題についての個人的なイメージです。

目標に対する障害物が課題です。

つまり、障害物をクリアできれば、目標が達成できるということです。

この場合、特性Aを上げる要素(例えば粒子径の最適化)の設計等が出来れば、目標達成できるということになります。

すべての項目共通ですが、可能な限りで数値化することが重要です。(目標値や課題、成果など)

技術的解決策

コンピテンシーでいう「専門的学識」「問題解決」にあたります。

記載の流れですが、課題を解決するための着眼点→専門技術の解決策提案→提案技術のリスク→リスクに対する提案という順番で書きました。

これを見て気づいた方はいますでしょうか?

実はこの流れ、選択問題Ⅲの設問の流れを踏襲してます。

以下、過去問題です。

Ⅲ-2 無機化学及びセラミックスの化学産業分野を含め、その技術活動においてノウハウの蓄積と伝承が行われている。このノウハウの蓄積と伝承は、化学産業の発展に必要不可欠かつ重要である。

(1)これからも化学産業が発展をつづけるためのノウハウの蓄積と伝承の課題を、技術者としての立場で多面的な観点から抽出し、その内容を観点とともに示せ。ただし、具体的なノウハウの記述を必ずしも問うものではない。

(2)抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げて、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に関連して新たに生じるリスクとその対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

引用:技術士会HP 過去問題 化学部門(令和2年度)

この問題でも、課題抽出→解決策を提案(詳しく説明)→解決策のリスクとその対策を提案、という流れになっています。

完全に一致しているわけではないですが、かなり似ていると思います。

筆記試験でこのような形で設問しているということは、詳細業務の技術的課題に関しても同様のことが求められているのではないでしょうか。

 

ぜひ自分自身の専門性をアピールしましょう。ここに私だからできること、私がなぜ技術士になれるんだ!(技術士に相応しい点)という点をPRしてほしいと思います。

成果(今後含)

コンピテンシーでいう「評価」、「技術者倫理(持続可能性)」、「継続研鑽」にあたります。

例えば、「目標値100以上に対して、開発品は105で目標達成した」、「実用化して、低炭素社会に貢献する」、「特許を5件出願した」です。

提出する前にチェック!

何度も見直す

誤字脱字は論外ですので、何度も何度も繰り返し読んでチェックしましょう。

声に出して言うとなおよしです。実際の面接でも最初に説明を求められることがありますので、無駄にはなりません。

他の人にチェックしてもらう

面接官は同じ部門ですので、専門用語はそれなりに理解してくれるはずですが、一方で専門性が強すぎてもコンピテンシーを説明したことにはなりません。

口頭試験は技術を問う試験では無く能力を問う試験ですので、誰にでもある程度は理解してもらえる内容にする必要があります。

ここで理解されない状態で提出すると口頭試験で苦しむことになりますので、知人や家族(理想をいえば技術士の先輩)などに見てもらうことが良いと思います。

まとめ

・口頭試験&技術士法を意識する
・構成は、①背景と立場、役割、②課題、③技術的解決策、④成果の順番で書く
・作成後は何度も見直す
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