筆記試験対策をしている方の中で「書き方のコツや対策方法はたしかにそうだけど実際どう書くの?」とか、「自分の回答が正解に近いのかわからない」という方がいらっしゃるかと思います。
本来であれば模擬回答や試験で実際に書いた回答を公開すべきですが、そのものを公開するのは控えたいと思います(理由は以下にあります)。
そこで、実際にどんな形で書いていくのか方向性をこの記事では書きたいと思います。
設問
引用:技術士会HP 過去問題 化学部門 令和2年
構成イメージ
必須科目は設問も多いため、要領よく書かないと最後まで書けなくなります。
そんな私も3枚目の最後は多少駆け足感ありました。
(設問4は書きたいと思ったことの6割程度しか書けないまま、全て埋まりました…)
それでも課題抽出、解決策には力を入れました。
設問1 課題と分析
エコマテリアルを開発、推進していくことで問題作成者はどんなことを回答者にもとめているのでしょうか。
3行程度でこの問題から解決したいこと、目標を手短に書きます。
例えば、持続可能性な材料開発の構築、環境負荷低減な社会活動など技術士法に基づいた目標を書きます。
課題は多面的にあります。
化学部門なので、原材料(元素含む)→設計→製造工程→使われ方→回収というプロセス別で抽出することがやり方のひとつです。
環境負荷低減やエネルギー消費量という観点で二酸化炭素排出量という観点でも課題を抽出できると思います。
なお、課題を抽出するときは、「〇〇することが課題である」と書くことです。
課題を求めてますので、課題が何であることを明らかにします。
次に抽出した課題の分析です。
多面的に抽出した課題同士を比較して分析するのは難しいです。
そこで目標に対して、最も影響度が大きいものに分析結果を示すことがやり方のひとつではないでしょうか。
化学部門の製品は、セラミックスを代表に製造工程が長く複雑です。
これらの観点から二酸化炭素排出量が多い点があまり知られていません。
そこをPRしたいのであえて分析結果に記載しました。
設問2 重要な課題と解決策の提案
重要な課題は分析しているので〇〇である程度でよいです。
具体的な解決策にスペースを使います。
その解決策は専門的であることは大事ですが具体的な手段までは不要です。
重要な課題が製造工程が長いということであれば短縮する方法を挙げます。
その一例ですが、焼成条件(時間)の根拠は実はあるようでないところもあります。
それをシミュレーション技術を用いて時間と温度の最適化する方法があります(シミュレーションではないですが、計算法としてはマスターシンタリングがあります)。
細かい内容は選択科目では必要ですが、必須科目であればこの程度に補足をいれてOKかと思います。
最後に評価(この技術を入れるとどの程度短縮できるか)をすることで提案します。
(提案だけではコメンテーターになってしまいます)
設問3 波及効果、解決策のリスク・懸念事項とその対策
解決策で評価をしていますが、波及効果(評価)をします。
製造時間の短縮提案をすべて行うことによって、従来より〇%、△時間短縮できる、等です。
次に提案した解決策に対する懸念事項です。部門によって指定されている場合があります。
・共通するもの
・解決策それぞれに対して
・特に指定なし
今回は、提案したものに対しての懸念事項です。
シミュレーション技術の他に提案したものを踏まえた懸念事項とその解決策を提案します。
デジタルツールの促進は効率を向上することは可能ですが、必ずしもメリットだけではないのでそれを提案していきます。
設問4 必要な要件
技術者倫理と持続可能性の観点から設問1~3をすすめるために必要な要件を回答します。
製造時間の短縮というのは生産効率が上がりますが、品質や安全低下が懸念されます。
これは技術者倫理で言えば、公益確保に関わる点かと思いますので、その点をどうやって対応するかを考えます。
一方、製造時間の短縮実現は二酸化炭素低減に貢献できます。
それによりどんな波及効果を期待できるのか、水平展開なども含めて回答します。
最後に
- 必須科目に限らずに問題作成者と共感すること
- 共感するために、設問に答えるのは最低限、その上でコンピテンシー等を求められることを意識する
- 該当部門の社会課題(提示された問題)に対して、目標を設定した上で該当部門の専門家としての回答をする